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第82話 解放

Author: 月歌
last update publish date: 2026-10-19 11:00:00

智也は、誘拐された身だというのにすっかりしょげてしまったアベルに同情して、慌ててナギの傍に行くと彼の援護に回った。

「アベルは最初は、牢獄塔に侵入してあなたを救い出そうとしていたのよ!! でも、私が護送車の柵に縛られて、護送兵に危ない目にあいそうになったから彼は護送車を壊して私を助けてくれたの。」

智也は続けた。

「牢獄塔に侵入できなくなった彼は、あなたを救うために成り行きで私を誘拐したの。この村ではすごく好くしてくれたし、アベルを責めるのはやめて。」

智也がそう言うと、ナギはじろりと智也を見て口を開いた。

「お前が、カインの側室のトモヤか?」

「そうだよ。」

「我が獣族には、人には判らぬ誇りがあるのだ。それを、アベルは穢した。たとえ計画的に誘拐したのではなくても、側室を誘拐して王家を脅したのは事実だろう。それは、獣族の誇りを穢す許しがたい行為だ!!」

「獣族の誇りは、正直私は分からない。」

智也はまっすぐナギを見て言った。

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    智也は、誘拐された身だというのにすっかりしょげてしまったアベルに同情して、慌ててナギの傍に行くと彼の援護に回った。「アベルは最初は、牢獄塔に侵入してあなたを救い出そうとしていたのよ!! でも、私が護送車の柵に縛られて、護送兵に危ない目にあいそうになったから彼は護送車を壊して私を助けてくれたの。」智也は続けた。「牢獄塔に侵入できなくなった彼は、あなたを救うために成り行きで私を誘拐したの。この村ではすごく好くしてくれたし、アベルを責めるのはやめて。」智也がそう言うと、ナギはじろりと智也を見て口を開いた。「お前が、カインの側室のトモヤか?」「そうだよ。」「我が獣族には、人には判らぬ誇りがあるのだ。それを、アベルは穢した。たとえ計画的に誘拐したのではなくても、側室を誘拐して王家を脅したのは事実だろう。それは、獣族の誇りを穢す許しがたい行為だ!!」「獣族の誇りは、正直私は分からない。」智也はまっすぐナギを見て言った。「でも、アベルはただあなたを……ナギさんが救いたかっただけなんだよ!! あなたのことを愛しているから。好きとか愛しているという感情は人間も獣族も共通の感情でしょ?」智也がそう言うと、ナギはじろじろと智也を見た後に、豪快に笑って智也の肩を叩いた。「どんなお姫様が誘拐されたのかと思っていたら、随分と豪胆な姫ではないか。王家でお前のような娘が王の子を産めば王国も変わるかもしれないな。」ナギは続けた。「お前は子を宿していると聞いたが、腹の子は無事か?」智也は頷いて彼女に向かって微笑み、口を開いた。「リリカさんが私の為につわりに効果のある薬草パンを作ってくれたの。お陰でつわりからは解放されたわ。」「そうか、それは良かった。無事に子を産め。そして、この国の母となりより良い王国を作ってくれ。人間も、獣族も争い無く生きていける国を創ってくれ。」智也は、ナギの迫力に押されて思わず頷いていた。母親になる自覚もまだないのに、国の母になれといわ

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